#038 コロナの禍福その2(2023年7月14日)

【つぶやき】

コロナ禍、労働時間が減りゆとりが生まれたのか、意外にも日本人の生活の満足度は低くなかった。

で、増えた余暇時間を人々は何に使ったのだろう。 何と言っても一番は睡眠だった。

やっぱり日本人は疲れているのだろうか。

続いて、趣味、軽い運動の順。趣味のなかでも、デジタルレジャーは勢いを増しているが・・・。

【コメント】

 日本のレジャー市場は、バブル期の余韻が残る1996年が最高で、90兆9140億円だった。その後は若干の増減はあったものの右肩下がりの傾向が続き、コロナ直前の2019年は72兆2940億円だった。

 レジャー市場が縮小していくこの間、人々は余暇を楽しまなかったかというとそんなことはなく、大きな流行は作られないまでも、日常型レジャーは堅調だった。縮小の一番の要因は、パチンコ人口の減少だろう。

 では、コロナ禍はどうだったかというと、密を避け、移動距離を制限せざるえない生活で旅行や外食は控えられ、2021年は55兆7600億円まで落ち込んだ。増えた余暇時間の中、読書や動画鑑賞、音楽鑑賞や家庭で楽しむ料理や園芸、ご近所ウォーキングや軽体操は、レジャー白書(※)の中でも参加人口の上位を占めた。自分に向き合い、一人で楽しむ時間を持てたともいえる。

 一方で、デジタルレジャーは堅調だった。音楽配信、動画配信、電子出版等の会社は売上を伸ばした。一定期間、一定の料金で音楽や動画を制限なく利用できるサブスク(サブスクリプション)などの仕組みも一気に広がった。

 そうした中、ネット投稿で急増したのがキャンプ人口だ。コロナ禍、人込みを避け自然回帰の傾向にあったのかと思いきやそれだけではなく、SNSでいいねを貰えるインスタ映えするおしゃれでゆるいキャンプが流行ったのだ。第二次ブームと呼ばれるまでに至ったキャンプは、用品に関しては2015年頃から売れ始め、少人数やソロキャンプが注目されるなど、1990年代の第一次ブームとはちょっと様子が違う。おうちキャンプやホテル並みの設備とサービスで誰でも快適なアウトドアを楽しめるグランピングも映え人気だ。

 もう一つコロナ禍堅調であったレジャーは、中央競馬や地方競馬、競輪、オートレースなどの公営ギャンブルだ。これらは、10年連続売り上げを伸ばしているが、成長を支えるのはネット投票だ。パチンコ不況とオンラインギャンブル隆盛は対照的なのだ。

 コロナは、遅れていた生活のデジタル化やオンライン化などの課題解決を一気に加速させた。行政の申請から学校の学習、消費、コミュニケーションまでネット利用が進んだ。余暇活動も然りである。スマホ一つで、動画を見て、音楽を聴き、ゲームで遊び、ショッピングを楽しみ、友達とSNSで会話する若者たち。今や一日中画面をのぞき込んでいる彼らを憂いている場合ではない。高齢白書によると、デジタルデバイドが高齢期の生きがいを左右するとのこと。これからの高齢者は、情報機器を使いこなさないと寿命が短くなるというから、若者を手本に学ばなくてはいけないのかもしれない。

 今年は各地で4年ぶりに祭りが復活するらしい。たまにはデジタルレジャーを離れ、汗を流したい。

※「レジャー白書」(㈶日本生産性本部発行)は、毎年レジャー市場の規模や余暇活動の参加人口を調査している。

執筆:マダム


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