【つぶやき】
行きつけの喫茶店やカフェはあるだろうか?
立地や居心地の良さなど、それぞれ重視するポイントがあるかもしれない。例えば「内装がおしゃれだから」「安価だから」「コーヒーがおいしいから」。
ではそのコーヒーはどこからどのように来ているのか。私たちの手元に届くまでの過程も知ったうえで、コーヒーブレイクを過ごしたい。
【コメント】
前回マダムが解説していたように喫茶店やカフェは「第三の居場所(サードプレイス)」や「インフォーマルな公共空間」として機能している側面がある。だからこそ、そのショップのコンセプトやそこで提供されるものにも注目したい。
例えば、「エシカル消費」(倫理的消費)を紹介しよう。SDGsのゴール12「つくる責任 つかう責任」に関連する取り組みで、「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」とある。(消費者庁 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/ethical/about)。
日本でも人気の高いあるコーヒーショップチェーンは、その経営方針に賛同できない消費者から不買運動の対象とされた。これは店舗のスタッフに対してではなく、経営陣にNOを突き付けるための不買運動で、大きくとらえると「社会的課題の解決に貢献しない企業は応援できない」ひいては「社会的課題を生み出すような企業は利用しない」といえるだろう。自分たちが楽しく、ゆったりと過ごす空間が、倫理的に賛同できないかたちでつくられているのは耐えられない、そういった意見を店に足を運ばないという形で表明している。
店舗閉店の理由として挙げられる「原材料高騰」も、輸送コスト上昇の影響だけでなく、これまでのコーヒー豆の価格が低すぎたから、とも考えられる。コーヒーの実を傷つけずに収穫するには手摘みが良いそうなのだが、そこでは児童労働がおこなわれていることがある。また過重労働の問題も指摘されている。そういった状況を変えるためには、公正な取引である「フェアトレード」が必要になる。また、環境を破壊せずにコーヒー生産を続けるには「オーガニックコーヒー」に十分な対価が支払われることも大切だろう。これはコーヒーに限った課題ではなく、チョコレートの原材料であるカカオ豆生産や、日本での農業問題にもつながってくる。
一見、消費者にとってうれしい「おしゃれ」や「安い」なのだが、ときには一歩踏み込んでその背景にも注目してみたい。
《執筆:ヒメ》