#119 都市 その2(2025年10月14日)

【つぶやき】

「余暇環境」としての都市を考えるには、東京と大阪を比べてみるのがいい。
東京には多くのヒト・モノ・カネが集まっているが、その分、ちょっとした時 間を過ごす場所が欠けているようだ。
一方大阪は駅前の再開発で、何にでも使えるフリースペースが増えてきている 。

今後どのような変化があるのだろうか。

【コメント】

 マダムが前回説明したように、新しい文化を生み出す「余暇環境」としての視点は都市の再開発において非常に重要になっている。巨大な商業ビルにはファストファッションの店やどこかで見たことのある飲食店などが入居し、どの都市でもだいたい同じようなラインナップになっている。チェーン店はどのメ
ニューもほぼ同じ味で「ハズレ」もなく安心だが、どこに行っても同じというのは「異質なものとの出会い」の対極にあって、東京のコンパクト版が各地に作られているような印象だ。

 それに対して、大阪の再開発は少しだけ違う状況になっている。東京では街歩きしようにもなかなか居場所がない、休憩できるようなベンチがなく、カフェに入ろうにも待たなければならない、との話はよく聞くが、大阪駅の周辺ではフリースペースが増えてきている。「排除ベンチ」もあるが、腰掛けるところも多く、夏暑すぎることを除けば、休憩場所には困らない。

 もし関西に来る際には、大阪駅の時空(とき)の広場や、駅の目の前のグラングリーン大阪に寄ってみてほしい。時空の広場は、駅の改札の上にあたり、行き方を説明するのは少し難しい(なので、待ち合わせ場所としてはあまりおすすめしない)が、ちょっとした時間を過ごすのにはぴったりだ。晴れている日はグラングリーンの芝生広場がちょうどよい。ビル群に囲まれたところにとくに何もない芝生が広がっている。お弁当などを持参してピクニック気分で過ごしてもよいし、実はちょっとしたアクティビティの用具も一部無料で貸し出しされている。大阪駅から少し北にいくと、古い建物をリノベーションし、個人経営の飲食店や小売店などが集まった「クリエイティブ長屋」ともいえるような地域がある。また、御堂筋は現在でも歩道が広くとられており、「ウォーカブルシティ」として再開発されているが、さらに道路を移設し歩行者天国にする計画もあるという。

 ただし、駅前のテナントの様子やイベントごとの状況を見てみると、東京と共通する点も多く、天王寺の再開発でのジェントリフィケーションの問題や、万博会場の跡地利用の議論など、まちづくりとしては課題も多い。とはいえ、新しい都市の在り方として、東京と比較する価値はあるのではないか。

《執筆:ヒメ》


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