#109 ゲーム その1(2025年7月4日)

【つぶやき】

デジタルゲーム優勢の時代にあっても、アナログのボードゲームやカードゲームの人気は根強い。

アナログゲームは、手触りのあるコマやカードを囲み、笑ったり、驚いたり、悔しがったり、感情を共有するところに価値がある。

参加メンバーによって、独自のルールを作ったり、自分たちに合った楽しみ方を模索したりと柔軟性も高い。

だから、タイパ時代にあっても魅力は褪せないのかもしれない。

【コメント】

 散歩の途中、気になっていた一軒家の二階にあるボードゲームカフェを覗いてみた。壁一面、300種以上のゲームの箱で埋め尽くされ、長方形や正方形の机が並んでいて、数グループが笑い声や奇声を上げながら卓を囲んでいる。ボードゲームカフェは、2015年頃から出店数を伸ばしてマスコミでも取り上げられ話題になったが、コロナ禍で減少し、最近再び増えているようだ。
 アナログゲームが人気の理由は、スマホやパソコン生活の反動としてデジタルではない体験を求めているのか、ゲームだけの会話に集中できるコミュニケーションは飲み会より気が楽なのか、顔の見えるリアルな場を求めているのか、さまざまあろう。利用者は、若者のグループが多いようだが、一人や二人で来店して、初対面の人とゲームに参加することもできる。

 ボードゲームといえば、高度成長期に流行ったファミリー向けの「人生ゲーム」やホビーゲームの「モノポリー」は誰もが知っているだろう。今やデジタルゲームだけでなく、アナログゲームの進化も凄い。
 ゲーム作家でもある店長から3つのゲームを教えてもらった。一つ目は「カタン」。資源を他のプレイヤーと交渉で交換しつつ、自分の開拓地を広げていく対戦ゲーム。相手を見ながらどう交渉するかも戦略の一つ。二つ目は「パンデミック:新たなる試練」。ウイルスが同時多発的に発生し、都市がロックダウンするなか、医療研究チームの一員になり、各地を廻って感染を抑えつつ治療薬の開発を目指すという協力型ゲーム。ハラハラしながら、参加者全員で目的を成し遂げる達成感がいい。3つ目は「ディクシット」。絵画にタイトルをつけ、感性の違いを楽しむコミュニケーション系ゲーム。優劣をつけずに多様な感受性をそのまま楽しめ、会話が弾む。

 ゲームとは、ホイジンガが定義した通り、自由な行為であり、決まった時間と空間で行われ、一定のルールに従い、緊張と喜びを伴うものだ。
 このボードゲームも然り。参加するのに能力を問われることはないし、囲碁や将棋のように能力差も顕著にならない。テーブルについたプレイヤーの属性も性別も年齢もゲームには無関係だ。若い人の言葉でいえば、「キャラ」を出す必要もない。平等性が担保され、ただゲームという空間と時間の中でルールに従うだけ。勝敗を競うゲームもあれば、今回教えてもらった3つのゲームのように、勝ちにこだわるというより、一緒にプレイしている仲間と如何に楽しむかを考えることにワクワクし、時に利己的な手ではなく、他者に譲り、他者を助ける利他的な手で、互いに喜ぶものもある。
 ゲームは軽やかに、そして距離を置いて楽しむもの。ゲームの勝ちにこだわり過ぎると、他のプレイヤーにイライラしたり、指示したりしたくなるが、それは危険なことだ。遊び(余裕)を失うと、ゲームは楽しめない。
 ゲームのプロセスにおける試行錯誤と選択は、学習理論の実践としても有効だ。しかし、ゲームを通して、判断力や挑戦力や課題解決力を身に着けることを目的にしてしまうと、遊びから遠ざかって楽しくない。

 シニア女性のなかでは、今、麻雀が人気なのだが、コミュニケーションの補助具としてボードゲームを広めてみたいと、私は密かに考えている。

《執筆:マダム》


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