#091 お酒(アルコール) その1(2025年1月4日)

【つぶやき】

古来より、宴を和みの空間とするにはお酒は欠かせないものだった。
心地よい酔いには、開放感と明るさがある。
しかし最近では若者のアルコール離れもあり、スマートドリンクが伸びている。
飲む・飲まないの選択の自由は尊重されつつも、酒席はみんなで楽しみたい。

【コメント】

 新年の幕開けは、日本酒で乾杯。お正月には、家族や親戚と、あるいは気の置けない仲間とともにおせちを囲み、盃を酌み交わした人も多いことだろう。

 丁度一か月前に、嬉しいニュースが飛び込んできた。ユネスコが、日本酒や焼酎、泡盛といった日本の「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録すると発表した。「和食」「和紙」「風流踊」などについで、日本で23番目の無形文化遺産となった。お酒は、儀式や祭礼行事に始まり日本文化を語る上では欠かせないものであり、今では日常的に親しまれる嗜好品となった。今回世界から評価されたのは、米や麦などを蒸す、こうじを作る、もろみを発酵させるなどの伝統的な製法だ。カビの一種のこうじ菌を巧みにコントロールし、でんぷんを糖分に変えるプロセスは、日本各地の風土に根ざし、自然や気候と深く結びつきながら伝承されてきた。科学技術が発達する前から、そんな製法を生み出し継承してきたのは、お酒を愛し、飲みたいという人々の強い思いからであろうか。
 国税庁の課税移出数量によると、清酒は、1973年のピーク時に比較すると3割以下まで減少している(アルコール全体の消費量もピーク時の8割に減少)。とはいうものの、最近よく目にするのは、中小の酒蔵が高付加価値の純米酒や純米吟醸酒に力を入れ、輸出にも乗り出し、成長している姿だ。今回の無形文化遺産登録が、世界で注目される日本酒の後押しになればいい。

 ところで、コロナの収束以降、家族や友達との食事や飲み会は増えてきているが、会社の飲み会が相変わらず見送られているという。コロナ禍で在宅勤務という働き方が増えたことや仕事終わりに寄り道せずに帰り、自分の時間を大切にしたいという生活様式が広まったことなども一因にあるようだ。また、各種調査結果で報道されているように、若者は職場での飲み会、初対面やまだ浅い仲の相手との飲み会は敬遠したいとの意見が多い。飲み会で「気を遣いたくない」「話が合わない」「面白くない」という彼らの気持ちはよくわかる。そんなコスパやタイパが悪い飲み会よりは、仲間内で楽しく過ごす時間がいいのであろう。
 お酒は宴会には不可欠な名脇役と思われてきたが、今や人間関係の潤滑油ではなくなりつつあるのだろうか。ソバーキュリアン(あえてお酒を飲まないことを選択するライフスタイル)や、飲めない人や酔いたくない人に向けたスマドリ(ノンアルコール飲料)の選択肢も増えた。そういう意味では、集う場でのお酒の役割も変わっていくのだろうか。

 親しい人ばかりの内向きの集いに興ずるだけでなく、いろいろな人との交流の場で、つかず離れずの関係や場の役割を演ずることは社交においては大事なのである。おっと、話がお酒から逸れてしまったが、そんな社交の場で、お酒に頼ることなく会話が楽しめるよう、若い人も年配の人も新しいつきあいの形を生み出していく必要があるように思える。

《執筆:マダム》


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