【つぶやき】
みなさん、「時間のゆとり」はあるだろうか?
毎日、家事・育児・仕事で暇がない。日々時間に追われている。一時期は忙しがったが、最近は落ち着いた…。
人それぞれ、といってしまえばきりがないが、時間のゆとりは、あらゆる余暇の議論の根本にある。
余暇に何をするか、何をしたいのか、何をしたくないのか…。
それを考えるためにも、まずは時間のゆとりが必要だ。
【コメント】
先月終了した大学入試共通テストの「公共」で、内閣府「国民生活に関する世論調査」を使用した問題が出題された。問題文に引用されていたのは、「時間のゆとりの有無」と「自由時間の過ごし方」の質問に対する2018年と2022年のデータであった。今回はとくに「時間のゆとり」の数値を確認しながら説明していきたい。
全体の結果を見てみると、以下のようになっている。
●2018年 ・「ゆとりがある」68.3%(「かなりゆとりがある」21.2%+「ある程度ゆとりがある」47.0%) ・「ゆとりがない」31.5%(「あまりゆとりがない」23.6%+「ほとんどゆとりがない」7.9%)https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-life/2-1.html
●2022年 ・「ゆとりがある」62.2%(「かなりゆとりがある」12.2%+「ある程度ゆとりがある」50.0%) ・「ゆとりがない」35.2%(「あまりゆとりがない」26.6%+「ほとんどゆとりがない」8.6%)https://survey.gov-online.go.jp/r04/r04-life/2.html#midashi15
ぱっと見ただけでも、「時間のゆとり」が減ってきていることがわかる。リンク先からぜひ年齢別のデータも見ていただきたいのだが、この「時間のゆとり」は高齢世代が引き上げている部分が大きい。例えば、2022年の70歳以上は75.4%がゆとりがある、と回答している一方で、30~39歳になると48.6%に低下する。しかも、この調査は「日頃の生活の中で、休んだり、好きなことをしたりする時間のゆとりがあるか」を聞いたものなので、実際に時間がない以上に、「ゆとりを感じられる瞬間が減ってきている」という心理的な側面も無視できない。
また、高齢者には「時間のゆとり」がある、というのも短絡的な評価だ。1/31に総務省が発表した労働力調査によると、2024年の労働力人口は過去最多になっており、その要因として働く高齢者や女性、外国人の増加が指摘されている(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/index.html)。もちろん、時間的・経済的ゆとりがあったうえで働き続けている人もいるのだが、多くの場合働かないことには生活が成り立たないという切実な社会状況を直視すべきだろう。
最後に、国民生活に関する調査は18歳以上が対象となっているが、それより下の世代でも「時間のゆとり」のなさが課題になりつつある。先日、高校2年生の3学期を「3年0学期」とする学校が出てきているとの記事を発見した(https://www.sankei.com/article/20250131-QCLLSGCKEJPBXGA5UBDK5FVLSE/?outputType=theme_nyushi)。記事によれば、「冬休み明けから受験生ですよ!」と、受験モードへの早期転換を促すもののようだが、要するに「春休みはない」ということだ。余暇は、全世代にかかわる課題であるからこそ、広く積極的に議論していきたい。
《執筆:ヒメ》