#055 冬の遊び&ウィンタースポーツ その1(2024年1月4日)

【つぶやき】

「白銀の世界で、白い息を吐きながら、転がりまわるのは最高!」って思うのはかなり古い世代らしい。

しっかりバイトで稼いで冬はスキー三昧という学生も、最近ではほとんど聞かなくなった。

レジャーが多様化した今、若者にとってスキーはさほど魅力がないようだ。

日本人のスキー人口が減る中、スキー場には、どんどん海外資本が入ってきている

外国人によるスキー場開発は、スキー復活の起爆剤になるのか?

【コメント】

 冬の遊びと聞いて思い浮かべるのは何だろう。雪合戦や雪だるま、かまくらなど冬の風物詩だろうか。それともスキーやスケート?

 スキーを思い浮かべるのは、ひょっとしたらバブル世代までかもしれない。レジャー白書((財)日本生産性本部発行)によると、日本のスキー人口は、1993年の1860万人がピーク。この頃、7人に1人がスキーを楽しんだ。原田知世と三上博史が恋人役を演じた1987年の映画のヒット作、「私をスキーに連れて行って」に魅かれた若者がゲレンデには溢れていた。スキーウェアや用具はファッション化し、ゲレンデは本当に華やかだった。丁度、上越新幹線や自動車道などの交通網も整備され、都会から行きやすくなったこともブームを加速させた。

 ところが、バブル崩壊後、スキー人口はどんどん減っていく。今やスキー&スノボ人口は、ピーク時の4分の1くらいまで減少。コロナ前の2019年で510万人程度だ。スキーに限らず、夏の海水浴人口同様、季節の遊びは大きく減少している。

 若者のスキー離れは何故なのか。バブル崩壊後、レジャーは多様化し、爆発的なブームは作られなくなった。車や用具はレンタルするとしてもお金が掛かるし、それに何よりも、カッコよく滑れるようになるまでには、時間が掛かりすぎる。寒い中、わざわざスキーやスノボに出かけなくても、ぬくぬくと家の中でゲームやスマホで楽しい時間を過ごせるから、その方が楽ちん。若者の声はこんなところだろう。

 この30年、何とかスキーを再び盛り上げようと、スキー場では若者のリフトを無料にしたり、シニア向けに工夫したりしたがなかなか効果は出なかった。JR東日本の「青春は純白だ」「ぜんぶ雪のせいだ!」「私を新幹線でスキーに連れて行って」など、結構いいコピーがあったが、今の若者には響かなかった。

 ウィンタースポーツ人口の減少、温暖化による雪不足、施設の老朽化というなかで、閉鎖されたスキー場もあるが、それでも需要に対するスキー場の数はまだまだ過剰らしい。こんななかで、ニセコや白馬をはじめ複数のスキー場で海外資本による開発が進んでいる。ニセコの中心地倶知安町には、高級ホテルやコンドミニアムが林立している。「パーク・ハイアット」「ザ・リッツ・カールトン」「ヒルトン」「シャレ―アイビー」とほとんどが、豪州、香港、シンガポールなどの外国資本によるものだ。数年前に噂を聞いて筆者も訪れてみたが、道路沿いに建てられている看板はほぼすべて英語、ホテルで働く人も居酒屋のお客さんも半分は外国人だった。

 ニセコはここ数年、路線価の上昇率は全国トップ。20年で地価の高騰は20倍で、それ以上の所も沢山あるというからバブルの再来のようだ。日本のパウダースノーを高く評価してくれるのは嬉しい話だが、場所によってはインフラの整備が追いつかなかったり、取得後山林を放置したままにしておいたりと課題もあるようだ。バブル崩壊後、リゾート地が悲惨な状態になった、あの苦い経験を繰り返すことだけは避けてほしいと願う。

 その地域のよさは、「よそもの、馬鹿もの、若者」など外の目が発見すると観光業界ではよく言われる。海外から資本や人が入ってくることによって、投資目的だけでなく、自然のなかでの冬の遊びの楽しさや雪の恵みに気づかされるような、魅力ある再発見や開発を期待したい。

執筆:マダム


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