#024 余暇の友は酒・・・(2022年6月24日)

【つぶやき】

世の多くの人は酒を飲む
とりあえずはビール、続いてチューハイだ、水割りだ、日本酒だ...
酒は酒を呼び、次々と盃を重ねていい気持ちになる。

酒を飲むのは余暇においてである。
仕事中に酔っぱらっていたら間違いなくクビになる。
酒が飲める時間・・・それこそが余暇である証拠といえる。

余暇にもいろいろある、仕事帰りの余暇、週末の余暇、もっと長い休暇、
余暇に合わせて酒の飲み方も千変万化する。
それぞれの余暇にふさわしい酒の飲み方を考えよう。

【解説】

 仕事と余暇を弁別するのに「酒」ほど分かりやすいものはない。仕事というのはあっさり言えば酒を飲まない時間であり、余暇とは取りも直さず酒が飲める時間である。だからこそサラリーマン諸君は終業時刻を待ちかねて、5時を過ぎればそれっとばかり仲間を語らって街へ繰り出す。目指すはなじみの赤提灯、夏場ならビルの屋上のビヤガーデンも悪くない。老いも若きもそれぞれの余暇を持ち寄って好みの酒を呼び寄せる。そこにいっとき出現するのは余暇のパラダイスである。

 人類が酒を発見したのはいったいいつのことだろうか。縄文人は酒を飲んでいたのだろうか。木の実を集めて食材にしていた彼らは、俗にサル酒と言われる自然にできる果実酒を知り、それを味わうこともあったのではないだろうか。その後の弥生時代になると、酒は確実に存在した。稲作によって得られた米を蒸して発酵させてアルコールを作る技術は早くに確立していて、今に伝わる日本酒の製法はそれを受け継いでいるという。

 稲作と酒が結びついているのは、余暇人から見ると、稲の耕作が半端でない労働を必要としていることと関係があると思う。田んぼを耕し、苗を植え、草取りをし、スズメを追い払い、イナゴを捕らえて稲を守るのは気の抜けない作業の連続だ。初夏から猛暑の夏を経て、秋の実りの季節まで、働きづめに働いてやっと豊かな実りを手にすることができる。収穫が終われば農閑期―待ちに待った余暇のシーズンである。お米から醸した酒を飲んで、歌って踊って愉快に過ごそう、というのはまことに自然な流れである。労働は余暇によって維持され、余暇は酒によって支えられるというのが人の世の習いということだ。

 仕事にもいろいろな種類があるので、その仕事人の余暇もバラエティに富んでいる。ホワイトカラーの余暇とブルーカラーの余暇は当然に異なる。余暇が違えば酒も違うというわけで、サラリーマンはビールがお好きだが、道路工事のオジサンたちは、ビールぐらいでは飽き足らずに焼酎をあおる。彼らの間でホップのジュースを焼酎で割った「ホッピー」が流行ったことがある。見かけはビールにそっくりだが、アルコール分は何倍も高いわけで、ビール感覚でぐいぐいあおったら、そのうち腰が抜けるという激しい酒だった。

 ビジネスマンの余暇にはスコッチが似合うだろう。有閑マダムは熟成されたワインのグラスを手に優雅に語り合っておいでだ。そしてリタイアして悠々自適のシニアの皆さんは、何と言ってもヤマト民族が守り続けてきた日本酒こそ一番だとばかり、旧友たちと盃を交わしながら俳句の1つもひねろうという次第になる。

 余暇は酒とともに、酒は余暇とともに。両者の切っても切れない関係はこれからも長く続くことだろう。


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