#041 どうする?夏休み その2(2023年8月14日)

【つぶやき】

「バカンス」という言葉を聞くと、青い海が目の前に広がる。

海辺のリゾート地で、昼間はプレジャーボートに乗ってしぶきを上げ走り周り、夜は地元で評判のお店にて新鮮魚介とワインを楽しむ・・・そんな姿。

バカンスは長期休暇だから、二、三日で帰る訳にはいかない。最低1週間は滞在しなくちゃ!

でもこんな休暇を家族で過ごすと一体いくら掛かるの?

主婦はすぐにそろばんをはじく。バカンスのお財布事情はどうなってる?

【コメント】

 バカンス大国フランスでは、どのような夏休みを送っているのか。連続した有給休暇を取らねばならないと法律で定められていることは前回のじいのつぶやき通り。そのお財布事情はどうなっているのか、ずっと気になっていた。INSSE(フランス国立統計経済研究所)とフランス観光局の調査をネットの自動翻訳DeepLで読んでみた。

 年間6週間強の有給休暇の内、2~4週間を夏休みにあてる。夏休みを取る期間はかなり幅があるが、ほとんどは学校が休みの7,8月に取られる。休暇の長さは、若者は年長者より短く、管理職や専門職ほど長くなる。男女、独身か既婚者か、子どもの有無には差はないようだ。でも職種や会社の規模には左右される。公務員や大企業は休暇を多く取得している。

 もっともバカンスに出かけるのはパリを中心とした都市民である。農村部の人たちは、収穫時期等と重なるから夏にはバカンスはほとんどとらない。日本同様、バカンス時期はパリから郊外に向かう道路は大渋滞するそうだ。何故なら首都圏の8割の人が自家用車で都心を脱出するからだ。滞在先は田舎や海岸が多いが、宿泊施設に関していえば、3分の2の人が家族や友達の家、別荘など非営利の場所を選ぶ。あとは、ジットと呼ばれるキッチン付のコテージ、シャンブル・ドットと呼ばれる民宿(B&B)、キャンプ場などで、ホテル宿泊はわずか5%くらいである。

 それでどのくらいバカンスに費用をかけているのか。単純に滞在日数と費やしたお金から一日の出費を計算してみると、田舎滞在で一日約41ユーロ(平均4.4日滞在で180ユーロ)、海辺滞在で一日約40ユーロ(平均7.2日滞在で291ユーロ)だ。1ユーロ=140円で日本円に換算すると、田舎滞在で5740円、海辺滞在で5658円というところか。(今は円安なので、日本円換算はもう少し上がる。)宿泊も食事も想像以上に簡素だ。パンと缶詰と地元の野菜で自炊し、レストランに行くというのはほとんどない。散歩やサイクリング、水泳などをゆっくり楽しみ、アクティビティにも費用を掛けない。勿論、エグゼクティブは十分にお金を掛けてゴージャスに過ごす。

 さて、日本の旅行のお財布事情はどうだろう。観光庁の「旅行・観光消費動向調査」によると、2019年の旅行支出は単純計算で、一日あたり35,168円(平均1.8日泊で63,304円)となる。今夏のJTBの事前調査でも 移動手段は、車が半数、新幹線・飛行機が半数というところだ。宿泊はホテルが6割、旅館2.5割(複数回答あり)で、滞在日数は2泊が3割強、1泊が3割で、一人当たりの旅費は、4~5万円が2割弱、2~3万円が2割弱と一番多い。

 こうなると、家計的に日本では長期の旅行は難しい。でも考えてみると、日本では休暇日数が少ないので旅行は短期となり、短期だからこそはずさないよう、目一杯の楽しみにお金を掛けてしまう。まさに集約農業的なのだ。

 そこで今よりもお金を掛けずに長く滞在するために、日本全国に活用されていない空き家をもっと積極的に長期休暇用に貸し出してはどうだろう。総務省の住宅・土地統計調査によると利用されていない空き家は全国に349万戸ある。既に市町村によっては移住者のために貸し出すなどの利活用をしているところもあるが、もっと工夫はできないだろうか。
また、今、地方では観光業や農業の収穫作業、祭りの担い手など、さまざまなところで人手不足が起きている。そうした課題解決と旅の掛け合わせに目を付けた若者が「㈱おてつたび」や「㈱オマツリジャパン」を立ち上げた。宿泊や食事は地元で提供してくれる代わりに、旅行者は作業や祭りを手伝う。知らない土地に出向き、地元の人と交流を楽しめるのは貴重な体験だ。こんな休暇も素晴らしい夏休みの思い出になるだろう。

執筆:マダム


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