#048 食べる その3(2023年10月24日)

【つぶやき】

おいしい料理を簡単に作ることのできる便利な調理家電が増えている。

一方、「カップラーメンが大好き」「完全栄養食が便利」「サプリメントでOK」など、

食に対する考え方は人さまざまだ。

しかし、「好みの問題」とは言い切れない状況も広がっている…

【コメント】

 秋の味覚がスーパーに並び始めた。野菜や果物、魚もいいかもしれない。店頭でみていると、あれもこれもと想像が膨らんでいく。しかし、いざ自宅で調理しようと思うと急におっくうになる。「一汁一菜」でもいいのだ、と言われるようになったのは約10年前で、近年では品数をたくさん準備する必要はないとの意見も広がってきている。とはいえ、旬の食材を上手に選んで、おいしく調理するのには知識と技術が必要だ。前回のマダムのようなおもてなし料理ほどはいかなくとも、簡単でおいしい料理を食べることはできないだろうか。

 最近は、材料を入れておくだけで適切な温度、時間を調整し調理する家電が発売されている。多機能な商品であれば、一台でさまざまな調理方法や料理に対応していて、お菓子作りもできるという。また、各メーカーの努力によって、これまで一般家庭では難しかった「プロの技術」が再現できるようだ。「材料をいれてスイッチを押すだけ」。ひと昔前のSF作品に出てきそうなフレーズだが、もう現実になっている。比較的手ごろな価格・大きさの調理家電も出てきており、超高級品ではなくなりつつある。

 一方、日々の食事にかける時間がなく、準備や片付けが簡単なコンビニ弁当やお総菜が欠かせないという意見もあるだろう。食の好みはもちろんのこと、現実問題として、食事にそこまで手間・ヒマ・お金をかけられない状況が明らかになっている。農林水産省の「食育に関する意識調査報告書(令和4年3月)」では、栄養バランスに配慮した食生活(主食・主菜・副菜を3つそろえて食べること)についての質問がある。そこで、主食・主菜・副菜を3つそろえて食べることが1日に2回以上あるのが「週に4~5日」、「週に2~3日」、「ほとんどない」と回答した人に、3つそろえて食べる回数を増やすために必要なことを聞いてみたところ、「手間がかからないこと」「時間があること」「食費に余裕があること」が上位3つを占めたという。当たり前のことかもしれないが、やはり時間とお金が不足している場合には、食を充実させるのは難しい。

 物価高騰の折、家計が厳しくなって食費を節約した結果、栄養失調や持病の悪化につながるケースも出てきている。これまでと同じ商品であっても、内容量が減っていたり、具材が変更になっていることもある。余暇としての食が広がる反面、生活の土台の食が危うくなっていることも覚えておきたい。

執筆:ヒメ


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