#050 散歩 その2(2023年11月14日)

【つぶやき】

歩くことは健康によい。

歩くことは地球環境に優しい。

歩き続けていると、見えなかったものが見えてくる。聞こえなかった音が聞こえてくる。

五感が働き、さまざまな発見があり、好奇心の触手が動く。

さて、今日の散歩では何を見つけるかな。

【コメント】

 日本人が一日に歩く歩数は、厚生労働省の統計によると、この20年で10%近く減っている。コロナ禍、ご近所ウォークする人が増えた一方で、出歩かなくなったという高齢者もいるだろう。今、改めてウォーキングが注目されている最も大きな理由は、健康法としての有酸素運動の効果だ。シニアのみならず、一日座って仕事しているオフィスワーカーにこそ推奨されるべきだという。
 スマホや万歩計で、一日どれ位歩いたかをチェックしている方も多いことだろう。最新の研究では、一日4000歩の歩行で、あらゆる原因による早期死亡リスクを下げることができるそうだ(2023年米ジョンズ・ホプキンス大学「欧州予防心臓病医学」誌掲載)。歩数が増えれば増えるほど、さらにリスクは下がる。心臓と血管に良い影響を与えるには、2300歩強とのこと。運動嫌いな方には、ほっとする数字であろうか。

 毎日歩く道も、せかせか歩く朝の通勤時とのんびり歩く休日では、見えるものが違う。歩く速度、季節、天気、時間帯、心持ちによって見えなかったものが見えるようになってくるから不思議だ。ゆっくり散歩していると、コンクリートの隙間から花を咲かせているすみれや駅前の植え込みの中にいつのまにか広まったハーブに気づく。甘いような香ばしさが鼻先をかすめると、付近にパン屋さんがあるなとキョロキョロする。コーヒーを焙煎する香りが漂ってくると、つい寄り道したくなる。昭和レトロな看板や最近できた新しい店の素敵な看板に出くわすと、思わず写真を撮りたくなる。
 散歩と写真は相性がいい。インスタ映えするかどうかは別として、スマホのお陰で気になった風景や面白いものに出会うと、どんどんシャッターを押したくなるものだ。いつの間にか、スマホのアルバムは街のコレクションでいっぱいだ。ご当地マンホール、ちょっと変わった建物、丸や四角のデザイン性溢れる窓、注目されないオブジェ、こんなところにあったのかと発見した暗渠や急な坂道や細い階段、トマソン的無用の長物などなど。街歩きをしながら、こんなマニアックな写真を集めている人も結構いるのではなかろうか。そんな自分なりの「まちの推し」を見せ合って、驚き合うのも愉快だ。

 今や、散歩のスタイルも人さまざま。NHKの「ブラタモリ」や中沢新一の「アースダイバー」に刺激され、地形からその土地の歴史を読み解く「地形散歩」は、ちょっとしたブームになっている。そんな時に役立つ時層系地図アプリも次々に登場している。目の前に見える道や坂を、立体地図や地形地図で俯瞰すると、地理の連続性がよくわかる。また、地形から見えてきた歴史や生活のいとなみを想像し、過去にタイムスリップしてみるのも楽しい。

 防災まちづくりや地域の活性化も、まずは歩いて観察することから始まる。そんな中から名所旧跡だけでなく、その土地の普段の生活や路地裏など日常的風景の面白さを発見し観光につなげるまち歩きも盛んになってきている。歩いて楽しい街は、余暇力高い街だ。
 散歩は、比較的お金もかからず手軽にできるように思われる。しかし、十分楽しむには時間と心の余裕が必要で、それはひょっとして現代においては贅沢なことなのかもしれない。

≪執筆 マダム≫


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