【つぶやき】
公園での人間観察はなかなか面白い。
遊具で遊ぶ子ども達やお弁当を広げている親子を見るのは微笑ましい。
一人で懸命に体操しているおじいさん、きっと健康には気を遣っているのだろう。
ベンチでうな垂れて昼寝する営業マンは、お疲れなのだろうか。
仲良さげに芝生に寝転ぶカップルは、羨ましい限りだ。
我々にとって最も身近な余暇空間・公園を、もっともっと楽しいものにしたい。
【コメント】
公園といっても、国立公園のような広範囲にわたる「自然公園」もあれば、「都市公園」に分類される、遊具が揃う街角の小さな公園や最近人気のキッチンカーが並ぶちょっと規模の大きい公園など、実にさまざまだ。
公園は、子どもから高齢者まで全ての人々にとって、レクリエーション活動や健康運動、文化活動の拠点となる場であるが、役目はそれだけではない。最近は、ヒートアイランド現象緩和や生物多様性の保全のために、積極的に緑化に取り組んだり、防災拠点として利用するために、備蓄倉庫や避難所として整備をしたりしている。
公園は、都市の評価においても重要なポイントの一つになる。都市に住む人にとってのアメニティ、すなわち快適性や心地よさを高めるのに、欠かせない場所だからだ。緑溢れ、リスが走り回るセントラルパークのあるニューヨークやハイドパークのあるロンドンなどは、その点では評価が高い。
東京も負けてはいられない。今、次々公民連携の公園整備が進んでいる。その一つが、若者に人気のある「渋谷区立宮下公園(宮下パーク)」だ。歴史的には、旧皇族梨本宮家の邸宅に隣接していたことから宮下と呼ばれたこの地域には、1953年に公園が開設され、1966年には東京初の屋上公園となった。そこが2022年に3階建の立体都市公園として再整備された。屋上には、スケートボード場、ボルダリングウォール、ビーチバレーなどができるサンドコートがあってスポーツを楽しめるほか、約1,000㎡の芝生広場ではイベントが開催される。2,3階には、昭和のレコード屋さんからブランドショップまでが入店し、フードコートやカフェもある。1階は線路沿いの「のんべい横丁」との連続性を意識したのか、全国の居酒屋が楽しめる「渋谷横丁」となっている。さらに隣接した建物にはホテルまで完備されているのだ。広大な土地のない東京ではこうした公園も魅力的ではあるが、ただここだけで一日過ごせてしまうのは、余暇時間を囲い込まれているようにも感じる。
一方、「国際アート・カルチャー都市」を目指す豊島区では、回遊して街を楽しむことを目的に、離れた4つの特色ある公園を整備した。うち二つは、舞台のある劇場型公園である。そこは、演劇やダンス、アニメのコスプレフェスティバルなどの発表の場として利用できる。後の二つは、地下化した変電所や造幣局跡地に芝生広場を作った。のんびり過ごしたいファミリーに大人気となっている。
最近の動きとして、新しい公園を整備する際や既存の公園のリニューアルの際に、住民自らが使い方や運営の方法を議論していく参画型も各地にみられる。禁止事項ばかりの公園から、住民にとって望ましい場をつくるため、アイディアを出し合って主体的にかかわっていく。そうした公園では、子どもたちを思いっきり遊ばせたいという思いからプレーパークを開催する団体、花壇の花植えボランティア、健康体操のグループ、Jazzを演奏するグループ、犬の散歩とゴミ拾いをする会などが参加し、公園サポーターとなる。行政と市民が協働で公園を維持管理運営するタイプの公園だ。
誰にとっても居心地のよい憩いの場として、人と人がつながりあう場として、活気のある賑わいを作り出す場として、公園の可能性はまだまだある。
《執筆:マダム》