#065 公園 その2(2024年4月14日)

【つぶやき】

ボール遊び禁止の公園や、くつろげないベンチ...

誰にとっても居心地のよい場所は、
どのように構想していけばよいのだろうか。

【コメント】

 最近の公園では禁止事項が増えており、例えば主に安全面を考慮し、ボール遊びは禁止になっているところが多い。近隣の自治体の名前で検索してみれば、市町村のホームページに禁止ルールが掲載されており、公園はできないことだらけになっている状況がよくわかる。

 一方で、地域によっては住民との対話・議論によって、ボール遊びができるようになっている公園もある。例えば、東京都練馬区立みんなの広場公園は、サッカー教室での公園利用が許可されている。しかし、どの公園でもルールの緩和が可能ということではなく、様々な条件が整った場合に限られるだろうというのが現状だ。 ※詳しくは堂免隆浩「練馬区立みんなの広場公園におけるサッカーゴール設置およびサッカー利用許可の成立条件:練馬区まちづくり条例における施設管理型まちづくり計画に基づく住民による公園管理」(2015)の論文をご参照ください。インターネットを利用してフリーで閲覧が可能です。

 地域の憩いの場になるには、実際に利用するひとびとの視点がかかせない。前回マダムが紹介したように、住民参画型の公園が増加しており、「誰にとっても居心地のよい憩いの場」にするための努力が重ねられている。ところが「誰にとっても」というのが難関になってくる。公園はみんなのものであるものの、「公共」の意識は個人差が大きく、ひとつの見解に一致させることはかなり難しい。「にぎわい」と「騒々しさ」の違いはわずかだからだ。

 たとえば、保育園の園庭の利用について、地域住民から不満が出るケースがある。しかし、その背景には園児の声が「うるさい」と感じるようになってしまう要因があり、実は「社会的孤立」の問題ではないのかとの指摘もある(東京新聞「保育園に愛着あったのに…女性が園児の声を「騒音」と感じるようになったわけとは<ニュースあなた発>」)。

 最近もニュースで取り上げられていた「排除ベンチ」と呼ばれる座りにくく、くつろぎにくいベンチがある。このベンチが都内のある公園に設置され、ホームレスのかたなどが横になれないようにするものではないかとの意見が挙がっている。それに対し、自治体からは、公園での飲酒や騒音等の苦情に対応すべく設置した、との回答があったという。

 このようなベンチは増加しており、駅前などにオブジェのようなかたちの椅子などが設置され、「排除アート」と呼ばれることもある。しかし、このような排除アートは広がる一方ではなく、改善・撤去される動きも出てきている。例えば神奈川県平塚市では、市議の働きかけにより排除ベンチが改修された。その場合は、老朽化したベンチを安全に使えるように、というきっかけから排除ベンチを撤去するに至ったそうだ(東京新聞「「排除ベンチ」の排除に初めて成功...野宿者支援に取り組む市議が平塚駅前ベンチ改修に込めた思いは」)。

 誰かを拒絶するような公園は、ほかのひとびとにとっても使いにくく、居心地の悪いものになるだろう、と想像しながらも、現実の問題としてどのように合意形成を図っていけばよいのか、まだまだ答えの出ない問いである。

《執筆:ヒメ》


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