【つぶやき】
アウトドアブームで、自然に触れる余暇もさまざまな年齢層に広がっている。
本格的な野外活動、というと少しハードルが高いが、気軽に足を運ぶことのできる、身近な自然はないのだろうか。
「里山・里海」がそのきっかけになるかもしれない。
【コメント】
コロナ禍で密にならない、ソーシャルディスタンスが取れる余暇として、アウトドアやキャンプ、釣りへの関心が非常に高まった。以前からキャンプ用品は、今後成長が見込めるスポーツ市場のひとつとして注目されていたが、ここまでの広がりを見せたのはやはりコロナの影響が大きいだろう。ラグジュアリーなキャンプ場でおこなうグランピングや、家族や友人に誘われてワイワイ楽しむかたち、自分を見つめ直すような「ソロキャンプ」など、参加の形もさまざまだ。キャンプに関する漫画やアニメもあり、熱心な愛好家だけでなく、気軽に楽しめる余暇として浸透してきている。
今月のテーマ「里山・里海」、実は私にはなじみのない言葉だ。里山というと、東京の西部、狸が出てくる有名なジブリ映画で描かれている印象があるが、里海は初耳でほとんどイメージがなく、具体的に場所を挙げることができない。マダムによれば、日本各地にあるそうなので、関西圏の里山・里海を探してみることにした。
例えば兵庫県神戸市をみてみると、神戸市北区藍那地区が里山として有名であり、須磨区の海岸は里海だという。個人的には、神戸はポートタワーのある臨海部の印象が強かったが、よく地図を見てみると北部には山があり、海と山が近くにあることが特徴的だ。国営明石海峡公園の神戸地区にある、あいな里山公園では、山歩きや農作業のイベントが開催されていたり、歴史的な史跡をめぐるマップも公開されている。一方須磨海岸は、以前は多くみられたアサリ減少の原因究明をきっかけに、調査・保全活動が活発におこなわれるようになったという。清掃活動や学校と連携した体験学習など、幅広く展開されている。
このように見ていくと、里山・里海は自然に触れる場だけでなく、歴史や環境問題など、多くの分野と密接にかかわる学びの場であることがわかる。だからこそ、休暇にパッと遊びに行き、その場で楽しむだけでなく、「守り・育てる」というかかわり方ができる。一過性の刹那的な余暇ではなく、じっくりと長く付き合っていく余暇のかたちとして、里山・里海に今後も注目していきたい。
《執筆:ヒメ》