【つぶやき】
本屋さんは私にとってどのような存在か?
新しい情報を手に入れる場所、居心地のよさを求める空間…
これからの書店の姿について想像を膨らませながら考えてみたい。
【コメント】
前回マダムも書いていたように書店の数が大幅に減少している。その報道を目にしたときには、徒歩圏にまだ書店があったため、気にも留めていなかった。しかし最近になって近所の書店が閉店し、身近で書籍や雑誌を手に取れるのは、チェーンの古書店かコンビニだけになってしまった。振り返ってみれば、近所の書店には不定期に足を運んでいたが、どうしても必要な書籍は通販で取り寄せることが多く、さまざまなジャンルの書籍を探しに行くときには大型店舗に行っていたのだから、私がその書店を「応援」できていたとはいいがたい。
今回のテーマが「本屋さん」ということで、いままでに行ったことのないタイプの書店を訪問することにした。あるジャンルに特化したいわゆる「専門店」だ。なかなかチャンスがなく訪れたことがなかったが、インターネットで検索してみると距離としては比較的アクセスしやすいところに店を構えているらしい。これはぜひ実際に見てみたい、とほかの用事のついでに行ってみた。土地勘のない場所だったため、あらかじめ書店の地図を確認し、当日はグーグルマップで経路検索をかけ、何度か迷いながら到着した。思った以上にひっそりと開店しており、中に入るには少し勇気が必要だったが、最終的には想定以上に長居してしまった。
その書店は古書・新刊だけでなく、一般にはあまり流通していないサークル雑誌も取り扱っており、所狭しとさまざまな本が陳列、平積みされていた。ある程度ジャンルは限定されているが、作品集や関連する雑誌、おそらく店主の趣味に近い本など、幅広い書籍・冊子が売られている。いろいろと手に取って、中をぱらぱらと見ながら検討した結果、本を1冊購入することにした。お会計の際に、オーナーのかたと少しお話しし(ほかにもお客さんがいたので、一言二言)、もうちょっとあの場でくつろげるくらいに通ってみたらよいかなあ、と思いながら帰宅した。
家に着いて改めて気がついたのは、今回購入したのは以前他の書店で立ち読みしたことのある本だったということだ。つまり、どの書店でも同じ本が気になっていたということになる。私自身の気分も大きいが、あの書棚に並んでいたから、「欲しくなった」のかもしれない。
今回書店を訪問して、本屋さんの一番重要な点はリアルな「場所」であることだと感じた。たくさんの本を集めておくのであれば、インターネットや電子書籍が圧倒的に便利だ。感想やおすすめも、SNSに投稿し、交流することができる。では、「なぜ書店が必要か」といえば、「サード・プレイスにもなり得るから」。そこに尽きるのではないかと思う。とはいえ、何もなしでサード・プレイスになることはなく、それなりの時間と手間がかかる。その時間的・精神的余裕があるか、次はこちらの問題になってくる。
《執筆:ヒメ》