#004「余暇」か「レジャー」か(2021年12月4日)

【つぶやき】

余暇って言うと「余った暇」、
何か消極的なイメージがある。
それなら「レジャー」という外来語を使った方がいいのでは。
レジャーと言えば、いかにも楽しい感じだし、
解放感もあるし、豪華な雰囲気もある。

近ごろは外来語があふれていて、意味不明な言葉も多いけれど、
レジャーなら若い人でもお年寄りでも、知らない人はないだろう。
レジャーの中身は人によっていろいろだろうけれど、
「余暇を楽しむ」という点ではブレはないと思う。

日本余暇会も「日本レジャー会」に看板を替えた方が
仲間が増えるのと違いますか。

【解説】

 この日本で「レジャー」という言葉が登場したのは1960年代のはじめのころ、それもある服飾メ ーカーが出した新聞広告で「レジャー・ウエア」という用語が使われたのが最初だと言われている。
それまでの日本人の衣服は、普段着と晴れ着の2種類しかなかった。着古した日常の服装と、お出かけや 儀式のときの一張羅のどちらかだったのが、それに加えて、余暇を楽しむときのラフだが個性的な「遊び着」を着てみませんか、というキャンペーンが始まったのだ。

 ちょうどそのころ、太平洋戦争の破壊からの復興がようやく終わり、経済の高度成長が始まろうとし ていた。経済が発展するためには消費の拡大が必須であり、そのためには誰もがいろんなモノを欲しが って買ってくれなくてはならない。
洗濯機、冷蔵庫、テレビの3種の神器がまずは売れたわけだが、日 常生活に密着したこれらの消費に加えて、その外側へ、楽しみを求めて出かけていく「レジャー」行動 が広がれば、景気はますますよくなるというわけだ。
当時の若者たちは(私もその一人だったのだが )、乏しい休日となけなしのお金をはたいて「レジャー」に出かけ、春秋の旅行、夏にはキャンプ、冬 にはスキーやスケート、街の中ではアメリカ伝来の新ゲーム「ボウリング」に熱中したものである。
こうして経済の高度成長は「レジャー・ブーム」を随伴しながら1960年代を驀進したのであった。

 それ以来、レジャーという言葉は、外来語という感じがなくなるほど、日本の社会に定着したが、同時に「金のかかる遊び」という抜きがたい特性を持つことになってしまった。
本来、英語のLeisureには 、もっと落ち着いた、静かな余暇行動も含まれているのだが、日本語になったレジャーは、快楽志向で 消費的で集団的で騒々しい雰囲気が随伴している。
つまりは「余暇」という語の広がりが消費行動の方 面に限定されてしまったのが日本的なレジャーなのである。

 というわけで、日本余暇会は「レジャー」を否定するわけではなく、もちろんレジャーも大好きな人 たちの集まりなのだが、「余暇」という用語の示す世界が静から動、精神と肉体、個人と集団...等の幅 の広い領域をカバーしていることに注目して、あえて「余暇」という言葉にこだわっている。

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