じい・マダム・ヒメによるリレーエッセイ

「つぶやき余暇」

毎月4のつく日は”よっかネタ”配信日!
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毎月ひとつのテーマを、世代の異なる3人の余暇研究者が執筆します。
じい(薗田碩哉)・マダム(辰巳厚子)・ヒメ(青野桃子)

#022 余暇って学問になるの?(2022年6月4日)

Posted by admin|  Posted on 2022/06/04 18:00

学問と言えばまずは古典的な哲学、文学、法学、経済学… 理科方面なら医学、化学、物理学、建築学に電子工学… いずれも立派な大学に学部や学科があって偉い教授たちが犇(ひし)めいている。 ところが近年、いささか風向きが変わって、今風のソフトな学問が増えてきた。 マスコミ学、コミュニケーション学、生活デザイン学あたりから はては観光まちづくり学、不動産学、演劇学からマンガ学まで、 ユニークな学部・学科を持つ新興大学があちこちに生まれている。 それでもどうしても見つからないのが「余暇」という名前の学部や学科だ。 余暇は学問とは無縁な世界なんだろうか。

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#021 100年前の「レジャー白書」(2022年5月24日)

Posted by admin|  Posted on 2022/05/24 18:00

余暇に関するデータブックとしては、 日本生産性本部が毎年出している『レジャー白書』が有名で、 余暇市場の規模とか日本人のレジャー実態を数字で示してくれる。 ところで、今を去ること100年も以前に、昔版『レジャー白書』が出されていた。 大阪市社会部が大正12年(1923年)に調査した『余暇生活の研究』がそれである。 当時の大阪市は東洋一の商工業の中心地として発展途上にあり、 周辺の農村部を取り込んで急速に都市化が進んでいた。 人口200万人、東京の330万人と比べても遜色のない大都市だった。 そのころの「余暇」の王様は映画、当時の用語では活動写真、次いで寄席と芝居、 週に一度の休日には、道頓堀や千日前をはじめとする盛り場に多くの民衆が押しかけた。 こうした興行ばかりではない。日常の余暇もさまざまな楽しみが追求されていた。 江戸時代以来の伝統的な娯楽もあれば西洋伝来の「モダンな」楽しみもあった。 そのバラエティの豊かさは、現在の余暇状況にも負けないくらいだ。 「余暇生活」は近代化の道をひた走るこの国の重要なイシューであったのだ。

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#020 余暇の原点は子どもの遊び(2022年5月14日)

Posted by admin|  Posted on 2022/05/14 18:00

春の天気は変化が激しいが、良い天気に恵まれるとホントに気持ちいい。 公園に行くと緑の芝生の上で、子どもたちが嬉々として遊んでいる。 中でも目立つのは、若い母親、父親に連れられた、いたいけな幼児たちだ。 よちよち歩いてすっころんで、それでもニコニコと立ち上がり、また歩き出す。 小さな身体いっぱいに、動くこと、遊ぶことの喜びを表して飽きることがない。 子どもたちはそこから出発して、どんどん遊びの中身を豊かにしていく。 身体を動かす遊びはもちろん、心を豊かに、頭を耕すいろいろな遊びに挑戦する。 それは少年期、青年期を経て、成人になってからの余暇生活につながって行く。 余暇の原点は、まずは子ども時代の遊びをしっかり遊びつくすことにある。 だが、いま、子どもの遊びはピンチ、それも大ピンチだ。 今の子どもたちは、私たちが子どもだったころに比べると、ホントに遊べているのか疑わしい。 確かにおもちゃも運動具も自転車も、いろんなモノは持ってはいるが、 仲間を集めて、自由に、勝手に、好きなように、心ゆくまで遊べているのかというと、 どうもそうではなさそうだ、いや断じてそうではない。 子どもの遊びは大人の世界に囲い込まれ、その商売の道具にさせられているのではないか。 それは大人の余暇のあり方にもつながっている。 子どもの遊びこそが余暇の原点だからだ。

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#019 こま切れ余暇からまとまり余暇へ(2022年5月4日)

Posted by admin|  Posted on 2022/05/04 18:00

時はいま、5月の大連休の真っただ中、 昨年も一昨年もコロナで身動きがとれなかったゴーデン・ウィークが3年ぶりによみがえって、 コロナの怖れは払拭されてはいないものの、観光地はどこもそこそこの賑わいのようだ。 週休2日制さえ、完全に定着しているわけではない余暇貧国ニッポンでは 連休というと、それだけで何となく嬉しい気持ちになるが、 憲法記念日 ? みどりの日 ? 子どもの日と続く押しも押されもしない3連休は 新緑の美しい5月の気候とも相まってお祭り気分を味わわせてくれる。 多くの勤労者は休日と休日に挟まれた平日は休日という「オセロゲーム」みたいな発想で 有給休暇を申請して10連休を作りだし、ちょっとしたバカンス気分も味わう人もいる。 そこでしみじみ感じることは、余暇というのつながって長いところに価値がある、 半日とか1日ぐらいの余暇は、余暇の断片に過ぎないということだ。 余暇は長く繋がってこそ価値があるのだ。

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#018 田舎の余暇と町の余暇(2022年4月24日)

Posted by admin|  Posted on 2022/04/24 18:00

イソップ物語の中に「田舎のネズミと町のネズミ」というお話がある。 大要はこんなストーリーである。 田舎のネズミが仲のよい町のネズミを自分の住まいに招待した。 畑の中で麦やトウモロコシや大根をふるまったのだが、 町のネズミは、これをバカにして、自分の所に来ればもっとすごいご馳走があると 田舎のネズミを町に呼んだ。 町のネズミの住まいに行くと、確かに食卓にたくさん食べ物が並んでいる。 喜んで食べ始めると、そこに人間が入って来て、2匹は慌てて逃げだす。 様子を見てまたご馳走にありつこうとすると、またまた人が入って来る。 隙を見て、あたりを警戒しながら食べるので、気が休まることがない。 田舎のネズミは言った。 「ご馳走はあってもこんなに危険なのはごめんだ。  僕は、田舎の畑でのんびり食べているのが性に合っている。  今日はありがとう、さようなら」 このお話は、現代人の「余暇」にも当てはまるのではないだろうか。

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