#021 100年前の「レジャー白書」(2022年5月24日)
Posted by | Posted on 2022/05/24 18:00
余暇に関するデータブックとしては、 日本生産性本部が毎年出している『レジャー白書』が有名で、 余暇市場の規模とか日本人のレジャー実態を数字で示してくれる。 ところで、今を去ること100年も以前に、昔版『レジャー白書』が出されていた。 大阪市社会部が大正12年(1923年)に調査した『余暇生活の研究』がそれである。 当時の大阪市は東洋一の商工業の中心地として発展途上にあり、 周辺の農村部を取り込んで急速に都市化が進んでいた。 人口200万人、東京の330万人と比べても遜色のない大都市だった。 そのころの「余暇」の王様は映画、当時の用語では活動写真、次いで寄席と芝居、 週に一度の休日には、道頓堀や千日前をはじめとする盛り場に多くの民衆が押しかけた。 こうした興行ばかりではない。日常の余暇もさまざまな楽しみが追求されていた。 江戸時代以来の伝統的な娯楽もあれば西洋伝来の「モダンな」楽しみもあった。 そのバラエティの豊かさは、現在の余暇状況にも負けないくらいだ。 「余暇生活」は近代化の道をひた走るこの国の重要なイシューであったのだ。